研究概要 |
1.超高速実空間イメージング分光装置の開発・調整 倒立型顕微鏡,収差補正回折格子型分光器および冷却型CCDカメラを組み合わせ,近紫外〜近赤外にかけての波長範囲において低温でのレーザー顕微分光が可能な光学システムを構築した.顕微鏡のステージシステムに能動帰還型位置制御システムを導入することにより,低温クライオスタットを用いた観察時においても長時間にわたる位置安定性に優れていることを確認した.また,再生増幅チタンサファイアレーザ・パラメトリック増幅システムを用いたカーゲート法による超高速分光を行うシステムを構築し,上記の顕微分光システムと組み合わせて超高速イメージング分光を行うための光源の開発を行った. 2.半導体ナノ構造試料の基礎光物性の測定 GaAs(411)A面に成長させたGaAs/AlGaAs量子ドットの高分解能顕微発光測定を行い,アンチストークス発光などの特異な光学的性質について調べた. CuCl量子ドットにおける赤外過渡吸収スペクトルの測定をピコ秒程度の時間分解能で行うことにより,従来から知られている励起子状態からの吸収に加えて,励起子分子状態からの過渡吸収を初めて捉えることに成功した. CdSe/ZnSe量子ドットの発光励起スペクトルの特異な振る舞いから,この物質系における励起子・フォノン複合体の性質について調べた. コロイド法で作成したCdS量子ドットの顕微分光測定を行い,その単一量子ドットからの発光信号を捉えることを試みている.
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