研究課題/領域番号 |
13440098
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
西垣 敏 九州工業大学, 工学部, 教授 (60126943)
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研究分担者 |
山田 健二 石川工業高等専門学校, 講師 (50249778)
渡邉 晃彦 九州工業大学, 工学部, 教務職員 (80363406)
内藤 正路 九州工業大学, 工学部, 助教授 (60264131)
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キーワード | 準安定原子脱励起 / イオン中性化 / 原子間オージェ遷移 / 表面電子分光 / 表面原子構造 / 表面電子系応答関数 / 表面プラズモン |
研究概要 |
希ガスの励起準安定原子や正イオンが表面に接近すると、表面側の価電子状態と入射原子の空準位の関与した、一種の原子間オージェ遷移が起きる。励起された電子はその近傍の原子ポテンシャルで散乱されて真空領域に放出される。放出電子強度の角度分布には表面最外原子層の局所構造による回折効果が反映されているはずである。 本研究は、He^*-表面散乱に於けるオージェ電子放出スペクトルの角度依存性実験から表面局所構造情報を得る方法を開発することにある。本年度はビーム中のHe^*原子速度分布が放出電子エネルギースペクトルに及ぼす影響を明らかにする実験を行った。また荷電粒子に対する多電子系の非線形応答に対して非摂動論的な取り扱いの理論枠組みを作った。実験の成果は以下の通り。 1.励起準安定原子生成をパルス化し、He^*の飛行時間差分離法(ToF法)によって、入射準安定原子速度を分解したスペクトル測定の装置を製作した。 2.カリウム吸着Si(100)表面からのヘリウム励起準安定原子誘起のオージェ電子スペクトルを、熱速度分布をもつ入射He^*の速度を分解して測定した。その結果明らかになったことは、(1)速い速度のHe^*は、脱励起するまでに表面に近い位置まで接近するため、表面電子状態と強く相互作用する。表面側電子密度分布の変化は仕事関数変化となって現れる。表面吸着子の電子軌道との相互作用は、その軌道のエネルギーシフトとなって現れる。 (2)低速のHe^*によるスペクトルにはオージェ脱励起(即ち準一電子過程)の寄与が大きいのに対し、He^*の速度が速くなると、共鳴トンネリング(励起負イオン化)+自動分離の過程で脱励起する割合が多くなることが、スペクトル上から確かめられた。
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