研究課題/領域番号 |
13440101
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
鎌田 雅夫 佐賀大学, シンクロトロン光応用研究センター, 教授 (60112538)
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研究分担者 |
高橋 和敏 佐賀大学, シンクロトロン光応用研究センター, 講師 (30332183)
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キーワード | 負の電子親和力 / 光制御 / 内殻光電子分光 / レーザー組み合わせ / Surface Photovoltage / 時間分解光電子分光 / スピン / GaAs |
研究概要 |
本研究は、光励起した半導体表面における過渡的な表面ポテンシャル変化を内殻光電子分光法により直接的に測定するという新しい内殻光電子分光法を用いて、表面層における光励起によって誘起される電子移動の動的過程を明らかにしてきた実績と経験を基に、また一方で、半導体表面からの電子の移動にとって重要な因子である電子親和力を制御する方法に関する研究成果に基づいて、(1)電子親和力の制御法を界面に適用して、光励起により半導体から機能性物質(遷移金属化合物など)へスピン整列した電子を移動させることで、半導体表面に生成した機能性物質の物性を制御すること、(2)この研究課題に存在する重要な科学的問題である、界面ポテンシャルと電子準位の関係、スピン整列した電子の移動における非平衡ダイナミクス、光誘起による電子移動と新しい物性発現、などについての量子論的描像を確立することを目的としている。 本年度は、(1)GaAs(100)基盤にCsと酸素の共吸着させた状態についてのまとめを行なった。また、光起電力効果の時間依存性の測定データに関しても、とりまとめならびにモデル構築などを行い、光誘起電荷移動の理解を深めることができた。これらについて学術論文として報告した。 (2)これらの成果を基にして、本研究課題のアイデア実現化の試みを幾つかの組み合わせについて行なった。p-GaAs(100)/Crでは、フェルミレベルのピン止めによるポテンシャル変化の抑制効果が期待されたが、有意の光誘起変化を生じることが分かった。一方、大きなバンドギャップを持つp-GaNでは、大きな光誘起効果が期待されたが、光強度依存性に特異点が存在することが分かった。現在、これらの興味有る結果について解析中である。 (3)レーザーの高次高調波利用による超高速時間分解光電子分光装置については、光学系、電子系、真空系を組み合わせた装置として完成し、性能試験を行ってきた。現在、微小光学系の製作を進行中であり、世界的に唯一の独創的な装置として稼動が期待される。
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