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2003 年度 実績報告書

強相関5f電子化合物の異常磁性

研究課題

研究課題/領域番号 13440103
研究機関北海道大学

研究代表者

網塚 浩  北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40212576)

研究分担者 天谷 健一  北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70261279)
キーワード強相関電子系 / 重い電子系 / 5f電子系 / 非クラマース電子配置 / 近藤効果 / 隠れた秩序 / 不均一反強磁性 / 圧力効果
研究概要

昨年度までに私達は、5f電子系URu_2Si_2の低温異常について、様々な高圧実験に基づき、加圧によって反強磁性(AF)相が1次相転移で発現し、その過程の広いP-T領域で相分離が起こるという新たな事実を明らかにしてきた。さらに、このAF誘起の起源が、軸性歪みc/aの僅かな増加(〜0.1%)にあることを指摘するとともに、長年の謎であったこの系の微弱磁性の本質が結晶の不完全性によって生じたAF相の「島」であること、及び、系の低温物性は未知の「隠れた秩序(HO)」によって支配されていることを提案した。本年度の主な成果は、第1に、U(Ru_<1-x>Rh_x)_2Si_2(x【less than or equal】0.07)系の化学圧力効果の研究から上記描像を支持する新たな証拠を得たことである。Rh混入によるc/a比の増大に伴い、化学圧力によってもHO-AF転移が起こることを明らかにした。さらに、圧力セル無しで相競合を調べられる利点を生かし、相転移に伴う磁化・比熱の振る舞い、磁気励起の消滅過程の詳細を明らかにした。第2に、同じくRh混入をパラメータとして、この系のメタ磁性のB-T相図の変化を調べ、pure系で最近見つかった複数の強磁場相と弱磁場相との関係を明らかにした。第3に、pure系に対する高圧下精密磁化測定を極低温領域で行い、HO-AF相競合の発達によって超伝導がどのように影響されるかを調べた。その結果、AF相分離の発達は、超伝導の凝集エネルギーを減少させるが、体積率にはほとんど影響を与えないことが分かった。すなわち、HO及びAF相を与えるフェルミ面とはほぼ独立し、超伝導にのみ寄与するフェルミ面が存在する可能性を実験的に示した。これらの研究成果は、アメリカ合衆国ロスアラモス国立研究所強磁場部門セミナー、f電子系の磁性と超伝導に関する国際Workshop(原研、東海)における招待講演等で公表された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] H.Amitsuka: "Inhomogeneous Magnetism in URu_2Si_2 Studied by Muon Spin Relaxation under High Pressure"Physica B. 326. 418-421 (2003)

  • [文献書誌] R.Giri: "Magnetic Properties of Sm-Based Filled Skutterudite Phosphides"Physica B. 329-333. 458-459 (2003)

  • [文献書誌] H.Amitsuka: "Inhomogeneous Magnetism and Hidden Order in URu_2Si_2"Physica B. 329-333. 452-455 (2003)

  • [文献書誌] M.Yokoyama: "Nonequilibrium Antiferromagnetic State in the Heavy Electron Compound URu_2Si_2"Acta Physica Polonica B. 34. 1067-1070 (2003)

  • [文献書誌] K.Kuwahara: "High Pressure X-Ray Diffraction Study of URu_2Si_2"Acta Phvsica Polonica B. 34. 4307-4310 (2003)

  • [文献書誌] K.Tenya: "Low Temperature Magnetization of the Skutterudite Superconductor PrOs_4Sb_<12>"Acta Physica Polonica B. 34. 995-998 (2003)

  • [文献書誌] M.Yokoyama: "Neutron Scattering Study on Competition between Hidden Order and Antiferromagnetism in U(Ru_<1-x>Rh_x)_2Si_2 (x【less than or equal】0.05)"Journal of Physical Society of Japan. 73(印刷中). (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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