研究概要 |
1.0.5K以下の極低温領域で磁場方向を連続的に変化できる磁化測定装置を開発した。この装置を用いて,反強四重極転移物質pfPb3の磁気相図を詳しく調べ,反強四重極転移温度の詳細な磁場方向依存性を得ることができた。その結果、四重極秩序変数をほぼ決定することができた。またその秩序変数から四重極相互作用に強い異方性があることが明らかになった。 2.0.5K以下の極低温領域で磁場方向を連続的に変化できる比熱測定装置を開発した。これを用いて,異方的超伝導体CeCoIn5の超伝導混合状態における磁場中比熱の角度依存性をab面内で調べ、電子比熱が4回対称の角度依存性を示すことを見いだした。この結果は、この物質の超伝導状態がd波であることを意味する.また、比熱の極大(極小)方向がそれぞれ[110]([100])であることから、超伝導対称性はd_xyであることが結論された。 3.スピンアイス化合物Dy2Ti2O7の[111]方向の磁化過程を極低温下で調べた結果、スピンアイスから磁化プラトー状態(カゴメアイス)を経て、約0.9Tで完全飽和状態へのスピンスリップを示す、2段階の磁化過程を初めて観測した。また、0.36K以下でカゴメアイスから完全飽和へのスピンフリップが気相,液相型の1次相転移に移行することを見いだした。これは局在スピン系における非自明な気相・液相型1次相転移として初めての観測例である。 4.スクッテルダイト化合物PrOs4Sb12の極低温磁化測定を行い、磁場誘起の秩序相を全磁場方向で確認した。この結果から、Pr3+の基底状態がGamma-1一重項であることがわかった。
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