研究課題/領域番号 |
13440109
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高木 英典 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (40187935)
|
研究分担者 |
笹川 崇男 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (30332597)
花栗 哲郎 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (40251326)
|
キーワード | 強相関半導体 / ドーピング / Ca_2CuO_2Cl_2 / ケミカルポテンシャルシフト / 電界効果トランジスタ / 磁性-誘電結合 |
研究概要 |
半導体としてのモット絶縁体の基礎学理を調べる舞台として、走査型トンネル電子顕微鏡や角度分解)電子分光(ARPES)など表面敏感な分光の応用、将来の接合への展開などを考慮して、清浄表面が得られる数少ないモット絶縁体であるCa_2CuO_2Cl_2を開発し、これを舞台として研究を行った。CaサイトにNaZP型不純物として導入した。角度分解光電子分光から、モット絶縁体であっても、あたかも従来型の半導体であるかのように、バンド全体がシフトし、その結果金属であっても、磁性絶縁体に由来する特徴、ブルリアンゾーンの折り返し、フェルミ面の一部消失などが現れることが判明した。一方、走査型トンネル電子顕微鏡による原子レベルの像観察から、導入されたキャリアの空間分布を捉えることに成功し、電子間相関によるキャリアの自己組織化を見出した。この現象は、強相関半導体固有の現象として捉えることができ、まさにその本質を抽出したといえるかもしれない。前者の結果はすでに報文として投稿した。 電界効果トランジスタを用いた物性の探索について、その基礎となる研究を行った。高耐圧アルミナ絶縁膜作製の条件を探り、10MV/cmの耐圧を実現するレベルに達した。この耐圧は現在の世界記録と比べると約1/5であるが、10^<21>cm^<-3>程度のキャリア数で発言する物性を探るには十分である。これまで、この絶縁膜を用いて、有機物(ペンタセン、分子性液晶)でトランジスタの動作特性を確認した。 その他、誘電性を示す磁性体における磁性-誘電性結合を系統的に調べている。その成果として、誘電率の磁場制御を実現したことは特筆に価する。
|