研究課題/領域番号 |
13440110
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩佐 義宏 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20184864)
|
研究分担者 |
竹延 大志 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (70343035)
田口 康二郎 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (70301132)
和泉 亮 九州工業大学, 工学部, 助教授 (30223043)
|
キーワード | フラーレン / インターカレーション / ネットワーク構造 / 強磁性 / 電界効果トランジスタ / 金属内包フラーレン |
研究概要 |
本年度は希土類金属のインターカレーションによって、従来のアルカリ金属の場合からは予想できない新しい電子状態を実現した。一方、フラーレン薄膜の電界効果トランジスタ(FET)の作製法を完成し、以下の成果を得た。 1)フラーレンの希土類金属インターカレーション化合物の物性研究を行った。従来からよく知られているようにアルカリ金属のドーピングはイオン結晶的なフラーレン化合物を形成するが、希土類金属では、それとは異なり共有結合的な結晶を形成する。まず前年明らかにしたSm3C70の二量体構造に対して、高圧を印加することによって1次相転移が発現することを見出した。精密な構造解析によって、この現象の本質が、C70分子の配向整列とSm-C結合による3次元ポリマー的なネットワークの形成にあることが明らかになった。この希土類金属-炭素間結合は、従来とは大きく異なる電子状態をもたらしやすいと期待される。その結果、Eu9C70なる化合物においてTc=39Kで強磁性が発現することを見出した。Eu濃度がEuOなどに比べてはるかに低いにもかかわらず、かなり高いTcが実現できたのは、この結合によっていると考えられる。 2)n型の伝導特性を示す有機材料は、一般に空気中で不安定で移動度も低い。フラーレンC60を有機FET材料として見た場合、n型で比較的高移動度を示す材料として非常に重要である。本研究では、C60およびその他のフラーレンの特性、特に本質的な伝導およびトランジスタ特性を明らかにするため、超高真空下で分子線蒸着後、空気にさらすことなくトランジスタ特性を評価する装置システムを構築し、C60の移動度0.6cm2/Vsを実現した。これは、n型有機半導体としては最高の値である。
|