研究課題/領域番号 |
13440111
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
東 正樹 京都大学, 化学研究所, 助手 (40273510)
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研究分担者 |
高木 英典 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (40187935)
藤田 全基 京都大学, 化学研究所, 助手 (20303894)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 高温超伝導 / オキシクロライド / 単結晶 / 高圧合成 / 放射光X線回折 / 光電子分光 / STM / μSR |
研究概要 |
Ca_<2-x>Na_xCuO_2Cl_2は、劈開性に富み清浄なCuO_2面が得られる、絶縁体からアンダードープ組成の試料が得られる、斜方晶歪みやモジュレーションがない、という特徴を全て兼ね備える唯一の高温超伝導体で、角度分解光電子分光(ARPES)やSTMの対象として最適の物質である。高圧下のフラックス法でこの超伝導体の単結晶試料を育成し、ARPESとSTMの測定を行った。 x=0.1(T_C=13K)の試料のARPESデータには、シャドウバンドや大きな擬ギャップという絶縁体の名残が明確に残っていた。このことから、この系の金属化がLa_<2-x>Sr_xCuO_4の様なギャップ内状態の成長による物ではなく、ケミカルポテンシャルシフトによる物であることが示唆された。また、x=0.08と0.12の試料を用いたSTM測定では、約20Åの相関長を持つパッチ状、又は川状の模様が観察された。像のコントラストの濃淡に応じて状態密度も変化しており、金属相と絶縁体相への相分離が起こっていると考えられる。 合成時の圧力をこれまでの6GPaから最高10GPaにあげることで、オーバードープ組成の試料作成に成功した。また、磁場中で配行した粉末試料を用いてμSR測定を行った。母物質であるCa_2CuO_2Cl_2はT_N=250Kの反強磁性絶縁体であるが、ドーピングに伴ってT_Nは急激に減少し、x=0.01で消失した。これはLa_<2-x>Sr_xCuO_4のx=0.02の半分の濃度である。 さらに、金属絶縁体転移を起こすペロブスカイトPrNiO_3、強磁性強誘電体BiMnO_3等の結晶育成と物性研究を進めた。前者については放射光を用いた単結晶、粉末X線回折によって、金属絶縁体転移温度でNiの電荷不均化を伴う構造転移が起きていることを明らかにした。また、BiMnO_3に関連して、BiCoC_3、BiCrO_3、BiNiO_3の粉末試料作成と構造解析を行った。
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