研究課題/領域番号 |
13440112
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北岡 良雄 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (70110707)
|
研究分担者 |
秋光 純 青山学院大学, 理工学部, 教授 (80013522)
石田 憲二 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90243196)
鄭 国慶 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (50231444)
|
キーワード | 高温超伝導 / 強磁性 / 共存 / 自己誘起量子化磁束 / NMR |
研究概要 |
磁気モーメントを有する希土類を含まない多結晶試料、RuSr_2YCu_2O_8(Ru-1212)は研究分担者の秋光グループが高圧下での合成に成功した。希土類磁気モーメントを含まない試料のゼロ磁場Ru-NMRの研究から強磁性モーメントと超伝導がミクロなスケールで共存していること、さらにはこの共存状態では「自己誘起・量子化磁束状態」が実現している可能性が高いことが明らかした。その結果をフィジカルレビューレター誌に発表した。この成果は、大きな反響を呼び、同じく共存が期待されている系、Eu_<2-x>Ce_xRuSr_2Cu_2O_<10-8>に関して、国外のグループと共同研究を展開することになった。以下に13年度の研究実績を具体的に述べる。 1.RuSr_2YCu_2O_8のゼロ磁場でのRu-NMR (a)2種類の異なる強磁性状態にあるるRu-NMRスペクトルの精密測定を行い、磁気モーメントは、面内に配列していること、Ruの電子状態は4:6の存在比でRu^<+4>とRu^<+5>の異なる価数をもつことを明らかにした。 (b)超伝導転移温度以下で観測されたRuの磁気モーメントの強磁性成分の揺らぎは、超伝導を示されない系でも観測されることが明らかとなった。この結果から、この磁気揺らぎは、自己誘起量子化磁束の存在とは関係ないことを結論した。 2.Eu_<2-x>Ce_xRuSr_2Cu_2O_<10-δ>のゼロ磁場でのRu-MNR Ru1212系のゼロ磁場でのRu-NMRの結果とは、大きく異なり、Ru-MNRの信号は一種類しか観測されなかった。この結果から、本系はRu1212とは違った機構でホールがドープされて超伝導が発現しており、研究課題である「強磁性と超伝導の共存の機構」についてより一層の研究展開が期待できることは判明した。
|