研究概要 |
1.空孔-水素クラスターの生成とcharacterization:Cr,Mn,Ni中での空孔-水素クラスターの生成過程を高温・高水素圧下でのX線回折によって調べ,空孔-水素の結合エネルギーを回収試料からの水素の熱放出スペクトル測定によって求めた。また電析金属中の残留水素と高温・高水素圧で導入された水素の熱放出スペクトルを比較した結果、電析金属中にも多量の空孔-水素クラスターが存在することが結論された。Niについては大阪大学・白井教授に陽電子消滅測定を依頼し、空孔の多量生成の確証を得た。 2.同位体共存効果:Ta-H-D試料の作成法を確立して電気抵抗の精密測定を行ったが、顕著な効果は見られなかった。しかしながらV-H-D系について行った予備実験の結果ではH-D共存試料でかなり大きな電気抵抗増加が見られたので、今後はこの系を対象とする予定である。 3.理論:面心立方格子中で互いに相互作用する水素と空孔の存在状態をモンテカルロシミュレーションによって調べた結果、相互作用の大きさによっては空孔と水素原子の生成・配列に相転移が起こる可能性のあることが知られた。
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