研究概要 |
1次元Heisenberg型反強磁性系の中のHaldane系およびdimer系において、交換相互作用をrandomに分布させるとき、どのような磁性が現れるだろうか?Haldane系やdimer系に存在するenergy gapはxの全領域で存続するのか否か?その物理的背景は何か?このような研究目的を持って強磁性-反強磁性交替鎖系IPACuCl_3と反強磁性-反強磁性交替鎖系IPACuBr_3との混晶系IPACu(Cl_xBr_<1-x>)_3を対象にして本研究を始めた。我々はすでに帯磁率測定によって、1≧x>0.87ではHaldane相,0.87>x>0.44]ではgapless相,0.44>x≧0ではdimer相であることをを確認している。今年度の達成目的としてxの全領域において単結晶の良質化を図り、それらを用いていくつかの手段による実験を企画して実行してきた。 我々はこの混晶系に対する単結晶育成法をいろいろと改良することによって、中性子散乱実験にも使用可能な大きさの良質単結晶を得た。電子スピン共鳴実験では、吸収線幅や共鳴磁場の温度変化を測定することにより、帯磁率測定で明らかにした3相で相異なるスピン緩和現象を確認した。 今後gapless相を示す中間領域物質で結晶構造や磁気構造がどうなっているのか、X線回折や中性子散乱などによって調べる予定である。
|