研究課題
基盤研究(B)
中性子スピンエコー分光器の整備・改良を進め、両親媒性分子を含む複雑液体での構造相転移とダイナミクスをX線および中性子小角散乱法と中性子スピンエコー法により調べた。主な成果は次の通りである。1.中性子スピンエコー分光器の整備(1)中性子スピンエコー分光器(ISSP-NSE)のためにドイツのHMIとの協力によりスーパーミラー偏極素子を用いてポラライザーとアナライザを改良・整備を行った。さらに、スイスのSwissNeutronics製の残留磁化型スーパーミラー偏極素子のテスト・検討、HMI等との協力・検討を重ね、移設するISSP-NSEの大幅な性能向上のために残留磁化型スーパーミラー偏極素子を用いたベンダーガイドポラライザーおよび大断面積アナライザの開発・整備を進めた。(2)ISSP-NSEの大幅な性能向上のため、大口径スパイラルコイルはじめ多種の補正コイルの作製法の開発を進めた。(3)TOF-NSEのために新たに考案した白色中性子ビーム対応のスピンフリッパーの試作および性能テストを行い、新型フリッパーがTOF-NSEに適したものであることを実証した。2.上記の分光器を用いた中性子スピンエコー実験および中性子小角散乱実験を行い、(1)非イオン性界面活性剤C_<12>E_5/水/n-オクタン系での構造のダイナミクス、(2)リン脂質DPPC/水系に塩化カルシウムを加えた系での構造と脂質膜の波状ゆらぎとの相関、(3)イオン性界面活性剤AOT/水/n-デカン3元系での温度・圧力誘起構造相転移とダイナミクス、(4)AOT/水/油系、C_<12>E_5/水/油系およびDPPC/水系にエタノールを加えた系での相図及び温度・圧力誘起構造相転移等を明らかにした。
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