ポリイソプレンゴムを素材として温度に加え、応力・歪を制御パラメータとしたガラス転移、結晶成長の研究を行った。 ガラス転移に関する研究では、履歴を大きく変えたガラスを準備し、ガラス-ゴム転移における張力・歪の挙動を制御された方法により測定を行い、記憶効果について調べた。その結果、ガラス転移点は歪の増加とともに下がることを確認した。また、ガラス状態において記憶されているのは、ガラス化するときの秩序変数ではなく、その歴史が記憶されていること、ガラスからゴム状態に戻る時その歴史が記憶が張力の回復として読み出されることを示した。また、ガラス転移領域において温度、伸長速度を変数として、レオロジー挙動を調べ、ゴム弾性、粘弾性、降伏的領域、ネック変形領域があることを確認し、これらの動的相転移境界が等ワイセンベルグ線で表されることを示した。 結晶成長の研究では、応力-歪曲線から結晶化、融解が読み取れることを示し、融点の張力に伴う上昇は液相でのエントロピー減少に依る寄与は小さく、融解時の張力下での試料収縮による仕事が主な寄与であることを示し、結晶化時の張力・温度・伸長速度の関係を融解挙動の解析より求めた熱力学的パラメータに基づき・速度論的考察から再現した。(論文投稿中)
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