研究分担者 |
大志万 直人 京都大学, 防災研究所, 教授 (70185255)
塩崎 一郎 鳥取大学, 工学部, 助教授 (80221290)
村上 英記 高知大学, 理学部, 助教授 (10166259)
島 伸和 神戸大学, 内海域機能教育研究センター, 助教授 (30270862)
上嶋 誠 東京大学, 地震研究所, 助教授 (70242154)
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研究概要 |
本研究の目的は,中国・四国両地方下の地下電気伝導度構造(地表からマントル上部)と地震発生層との関係を明らかにすることである。特に,(1)フィリピン海プレートに対応する高比抵抗層の形状,(2)中国・四国地方の東西の地震発生状況の違いと電気伝導度構造との関連、を明らかにする事であった. (1)について:中国・四国東部をN40W-S40E方向に縦断するプロファイルの2次元電気伝導度構造モデルを決定した.このモデルから,(1)中国・四国両地方の地下20km(四国地方南部)〜60km(中国地方北部)を上面として,厚さ約30km高比抵抗領域(>500Ω・m)が存在すること,(2)前述の高比抵抗領域のより深部は,数10Ω・mの低比抵抗となっていること,(3)中国地方北部から日本海かけて,深さ40km近に5Ω・m以下の低比抵抗領域が存在していることを示した.電気伝導度構造モデルの解釈を進め,(1)の高比抵抗領域は,西南日本弧に沈み込むフィリッピン海スラブである事を示し,(2)の結果を考慮して,スラブの厚さは約30kmあることを導いた.つぎに,フィリピン海スラブの北端はどこまで達しているかという問題に進んだ.多数のforwardモデル計算を行い,このスラブは少なくとも中国地方北部まで達しているという結論を導いた.すなわち,震源は四国地方南岸から瀬戸内付近までした分布していない事を考慮すると,四国・中国両地方下に沈み込むスラブは,瀬戸内付近で非地震性に変化していることを発見した. (2)について:中国・四国両地方西部におけるネットワークMT観測では,NTT電話局間線の光ファイバー化,大きな電車の漏洩電流のために,観測は限られた地域においてしかおこうなうことができなかった.そのため,島弧に沿う方向の地下電気伝導度構造をさぐるために,紀伊半島地域(和歌山県・三重県)において,ネットワークMT観測を展開した.
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