大気変動,海水面変動による重力変化の基礎的研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13440135
• 研究機関: 国立天文台
• 研究代表者: 佐藤 忠弘 国立天文台, 地球回転研究系, 助教授 (10000176)
• 研究分担者: 田村 良明 国立天文台, 地球回転研究系, 助手 (90150002) ; 東 敏博 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90135517) ; 藤本 博巳 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50107455) ; 松本 晃治 国立天文台, 地球回転研究系, 助手 (30332167)
• キーワード: 海底圧力計 / 衛星高度計観測 / 衛星重力観測 / 絶対重力計 / 超伝導重力計 / 海水面変動 / 重力変動 / 大気・海洋潮汐

研究概要

本研究は、海底圧力計による観測を実施し、衛星高度計のデータ、またそれを基に作られた海洋モデルとを比較することで、大気・海洋変動と重力変化との関係を研究することを目的としている。
(1)海底圧力計観測
昨年再設置した3点(A点:39°12.718N、143°09.685E、B点:39°12.712N、145°59.793E、N点:41°29.492N、144°38.619E)での観測を実施した。A、B点についてはデータ回収後、再設置した。
(2)重力絶対測定
絶対重力計FG5による,江刺の超伝導重力計の感度検定とゼロ点の検定を実施した。
(3)海底圧力計の問題点の究明、海洋データの解析
前年度の解析で問題になった海底圧力計のドリフトについては、海水導入口でのスケール付着防止策を施し、成果が得られた。
陸棚側A点とその外側のB点では、衛星高度計による海水面変動データと圧力計データとに大きな差があることが見出され、大洋には順圧成分が広い周波数領域に渡って存在する可能性が確認された。また、潮汐モデルとの比較では、比較した潮汐モデルの多くが、観測値より約2-3%小さいこと、大気潮汐S2と海洋潮汐とのカップリングが見出された。これらは、衛星重力観測における大きな誤差要因になる。これらの知見は、本研究での大きな成果である(佐藤他、地震研究所研究会報告)。
(4)重力データの解析
3年間の重力絶対測定による江刺の超伝導重力計の検定値の再決定、重力潮汐の解析、粘弾性地球モデルとの比較を行った。観測は明らかに粘弾性地球を支持する(J.Geodesyに投稿中、Tamura et al.)。自由コア章動の解析から、本研究のテーマの一部である重力観測による海洋モデルの検証を行うとともに、地球流体核とマントルでのカップリングが非常に弱いことが分かった(J.Geodynamicsに投稿中、Sato et al.)。

研究成果

• [文献書誌] T.Sato et al.: "Ocean Bottom Pressure Measurements Off Sanriku, Japan"地震研究所研究集会2003-W-01論文集. 6-16 (2004)
• [文献書誌] 奥野 淳一, 佐藤 忠弘, 福田 洋一: "Svalbard諸島における変位と重力変化-PGRと最近の氷床融解の影響-"地震研究所研究集会2003-W-01論文集. 1-5 (2004)
• [文献書誌] 大坪 俊通, 松本 晃治ほか: "衛星軌道決定の高精度化〜物理モデルとソフトウェア開発〜"地震研究所研究集会2003-W-01論文集. 161-165 (2004)
• [文献書誌] Osada, Y., H.Fujimoto et al.: "Estimation and correction for the effect of sound velocity variation on GPS/Acoustic seafloor positioning : An experiment off Hawaii Island"Earth Planets Space. 55. 17-20 (2003)
• [文献書誌] Fujimoto, H., M.Mochizuki, K.Mitsuzawa, T.Tamaki, T.Sato: "Ocean bottom pressure variations in the southeastern Pacific following the 1997-98 El Nino event"Geophys.Res.Let.. Vol.30,No.9. 1456-1459 (2003)
• [文献書誌] Fujimoto, H.: "Seafloor geodesy and an ocean bottom cable system"Submarine Cable 2003 Workshop(SSC'03). 251-254 (2003)