研究概要 |
本プロジェクトの今期の課題は,データの蓄積であった。平成13年度に,3地域の試料の主要元素及び微量元素の化学分析が完了した。分析した試料は,山口県関門層群から24の砂岩及び泥岩試料,韓国Gyeongsang層群からの60試料,山陰地域における中新世の背弧堆積岩と火山岩の150試料である。山陰地域の分析データをまとめて公表の運びになっている。公表データには,2001年度に採集した84の試料の分析値が含まれる。また,北海道渡島帯のジュラ系(Esashi, Okamotsugawa, Kamiso, Toi Complexes)から88試料を採集した。これらの試料は,イドンナップ層や蝦夷層群に関する既存のデータと比較検討するためのものであり,北海道における内帯の起源物質に関する基礎的データを提供するはずである。これらの試料はXRF分析の準備を行っているところである。 四万十テレーンからの34試料に関して,ICP-MSによってREE分析を行った。この分析は,四万十テレーンのデータをイドンナップ層群や田辺層群に関してこれまでに得られている溶液ICP-MSデータと十分に比較検討するために行った。ニュージーランドTorlesseテレーンからの36試料のREE分析も行った。これは,本テレーンに関する最初の高精度のデータである。予察的なSrおよびNd同位体分析も,四万十テレーンからの15試料から開始し,続行中である。ニュージーランドMurihikuテレーンの試料のXRF分析行い,国際誌に投稿した。これらの研究と同時に,ニュージーランドの付加テレーンの研究を行っており,OtagoのKaka Point sequenceから41試料を採集し,このブロックのテレーンの起源を検討するために分析を行った。
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