研究分担者 |
狩野 彰宏 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60231263)
松本 良 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40011762)
川村 寿郎 宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (60186145)
上野 勝美 福岡大学, 理学部, 助教授 (90241786)
江崎 洋一 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (60221115)
|
研究概要 |
平成14年度は,国内外で活発なフィールドワークと室内作業が行われ,基礎的データの蓄積がおおいに進んだ.国内では,四国東部白亜系陸棚成石灰岩,南部北上・黒瀬川帯などのシルル系石灰岩,秋吉台の石炭・ペルム系石灰岩などが主要な調査研究対象となった.また現生の淡水性マイクロバイアライトであるトゥファについての調査も進められた.国外では,中国四川省・貴州省,カナダ・ブリテッィシュコロンビア州などにおいて,多様なマイクロバイアライト相を含む炭酸塩堆積物の堆積相,年代,層序が調査された.とくに本年度は,炭酸塩堆積環境の変化とマイクロバイアライト堆積の関連性について,堆積岩石学的手法に加えて,安定同位対比測定を行って地球化学的アプローチが開始された.なおこの地球化学的アプローチは現在も進行中であるため,詳細な成果は次年度以降明らかにされる.本年度取り組んだどの研究対象においても,時代・地域を問わず,多彩な石灰質マイクローブが構築した構造が見いだされ,石灰質マイクローブが生砕物や礁石灰岩の中で骨格生物に比肩する高い割合を占め,石灰岩形成において重要な役割を果たしていることが認識された.また大型造礁生物と石灰質マイクローブが共存して,礁のフレームワークの構築のために重要な役割を果たすことが明らかになりつつある. 本研究計画の目標のひとつに,炭酸塩に係る教官層・学生層の今後の研究に多いに役立つと考えられる炭酸塩岩写真集を佐野・川村・狩野が中心となって平成15年度末の出版を目標として,分担者からの写真原稿が集約されつつある.本年度は現在までに400点余りの貴重な薄片写真が寄せられている.1000点の原稿を収録したD-Rom版の出版を目指しており,次年度は編集段階に入るため,よりいっそうの原稿集約を図る.なお一部はすでにweb上で公開している. H15年度は本研究計画の最終年度にあたるので,さらに国内外にフィールドワークを充実し,基礎データ収集に努める.得られた成果は適宜,学会発表,論文投稿して公表を進めていく.
|