研究分担者 |
江崎 洋一 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60221115)
狩野 彰宏 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60231263)
川村 寿郎 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (60186145)
井龍 康文 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00250671)
上野 勝美 福岡大学, 理学部, 助教授 (90241786)
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研究概要 |
本研究計画最終年度にあたる本年度は,国内外で活発なフィールドワークと室内作業が行われ,基礎的データがおおいに蓄積されるとともに,各分担者の研究課題に沿った研究成果の総括作業が進められ,国内外の関係学会・研究集会での発表が精力的に行われたれた.国内では,南部北上・黒瀬川帯などのシルル系・石炭系石灰岩,秋吉台の石炭・ペルム系石灰岩などが主要な調査研究対象となった.国外では,中国四川省・貴州省などにおいて,多様なマイクロバイアライト相を含む炭酸塩堆積物の堆積相,年代,層序が調査された.とく昨年度から開始された,炭酸塩堆積環境の変化とマイクロバイアライト堆積の関連性について,堆積岩石学的手法に加えて,安定同位対比測定を行って地球化学的アプローチがさらに展開された. 本年度取り組んだどの研究対象においても,石灰質マイクローブが構築した構造およびマイクロバイアライト相が見いだされた.その結果,石灰質マイクローブが生砕物や礁石灰岩の中で骨格生物(metazoan)に匹敵する重要な位置を占め,石灰岩形成において重要な役割を果たしていることが認識された.また大型造礁生物と石灰質マイクローブが共存して,礁のフレームワークの構築のために重要な役割を果たすことが秋吉帯や中国四川・貴州省の後期古生代石灰岩において明らかにされた.本研究で明らかになった,大型造礁生物と石灰質マイクローブの共存は,礁生態系の形成過程,環境変動との関連等今後解決されるべき重要な課題を提起することができた. また本年度新たな展開をみせた成果として,マイクロバイアライトの形成と地球規模での気候変動の関係があげられる.とくに秋吉石灰岩層群などで見いだされた,ペルム紀前半のゴンドワナ氷床縮退・消滅に伴う温室期気侯開始に同調した石灰質マイクローブの多様化とマイクロバイアライト堆積の顕在化は注目に値する.
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