研究概要 |
1.海水・有孔虫殻の採取と解析 昨年に引き続き、東大・海洋研KH03-1次航海に乗船参加し、海水および各地域に生息している有孔虫を採取する目的で、東太平洋ペルー沖において試料を採取した。浮遊性有孔虫は、水深7m以浅の海水を約4000L濾過して採取しエタノールで保存し、同時に海水を50m採取した。底生有孔虫は、マルチプルコアラーを用いて不擾乱海底泥を採取し、ローズベンガルで染色した。同時に海底付近の海水を採水し持ち帰った。現在,海水試料から全炭酸の抽出を順次行っている。また、有孔虫試料は、種ごとに拾い出しを行い、群集解析を行っている。順次質量分析計を用いて同位体測定を行い海水のそれとの比較を行っていく予定である。 2.現在まで得られた有孔虫殻と海水の同位体比における非平衡の結果 海水を濾過して採取した浮遊性有孔虫の3種を選定した.G.ruber, G.sacculifer, N.dutertreiの殻の酸素同位一体比が,海水のそれよりもそれぞれ平均で0.45‰, 0.37‰, 0.12‰軽くなる傾向にあり,それらの殻が同位体平衡で形成されていない事が明らかになった.有孔虫種の同位体比は、海水のそれと比較すると必ず偏差があるが,G.ruberとG.sacculiferでは,ほぼ同じ結果である.これらは、単一個体ではなく複数個体を測定しており,海水の表面水温の変化によって引き起こされていると考えられるが,生物学的に個体発生の途中で代謝活動が変化したこと等も考慮に入れる必要がある.
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