研究概要 |
平成14年度には以下の4つの研究を行った。 (1)平成14年には,三回の放射光X線回折実験を高エネルギー加速器研究機構の放射光実験施設にて,共同研究者の中村助教授と行った。この実験によって31個の層状珪酸塩に富む微隕石を見出した。それらを主要鉱物に基づき分類を行い,7月時点での結果を第65回Meteoritical Society年会にて発表した。鉱物学的に見ると,最も数の多いものはTagish Lake隕石に似た微隕石であり,次に多いのがCIコンドライトに似た微隕石であった。CMコンドライトに似た微隕石は全体の1割程度であった。Tagish Lake 隕石は非常に特異な炭素質コンドライト隕石である。このような隕石に類似した物質が宇宙塵としては数多く地球に落下していることが本研究によって初めて明らかになった。現在も層状珪酸塩に富む微隕石の同定を続けている。 (2)上述のTagish Lake炭素質コンドライトについての研究をまとめた。共同研究者の中村助教授による希ガス同位体化学と私の鉱物学的結果を組み合わせてその形成過程を論じた論文をEarth and Planetary Science Lettersに投稿し印刷された。 (3)共同研究者の中村助教授の研究室において,つくば隕石(Hコンドライト)中にCI炭素質コンドライト類似のクラストが発見された。そのクラストについて,(2)と同様な方法を用いその形成過程とHコンドライトへの捕獲過程を論じた論文をEarth and Planetary Science Lettersに投稿した。 (4)共同研究者の矢野助手とエアロジェルを用いたマイクロメテオロイド捕獲時の捕獲物質の変化についての実験を行った。平成14年夏までの結果がProceedings of the 23^<rd> International Symposium on Space Technology and Scienceに印刷された。
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