研究概要 |
平成15年には以下の4つの研究を行った。 (1)平成15年には,三回の放射光X線回折実験を高エネルギー加速器研究機構の放射光実験施設にて,共同研究者の中村助教授と行った。この実験によって新たに15個の層状珪酸塩に富む微隕石を見出した。これによって現在までに5000個以上の宇宙塵から46個の層状珪酸塩に富む微隕石を発見した。平成14年度に31個の宇宙塵の鉱物学的特徴を第65回Meteoritical Society年会にて発表したが,これらの鉱物学的特徴は数が増えても変わりはない。すなわち,層状珪酸塩がSaponiteのみのものが大部分を占め,次に多いのが層状珪酸塩にSaponiteとSerpentineを含むものであった。 (2)Vigarano CV chondriteについて,共同研究者の中村助教授と,放射光X線回折,TEM,レーザーアブレーション希ガス同位体分析を行い,この隕石のこうむった水質変成作用とその後引き続いて起こった熱変成作用について明らかにした。この結果は第66回Meteoritical Society年会において発表した。 (3)また,東京大学の長尾教授,共同研究者の中村助教授とともに,Willard(b)H3 chondrite隕石に含まれる炭素質コンドライトクラストの鉱物学的特徴とその意味について,Goldschmidt Conferenceにて発表した。平成14年度に研究したTsukuba隕石に含まれていた炭素質コンドライトクラストなどとの結果とも合わせて,層状珪酸塩に富む微隕石の鉱物学的特徴と比較した。 (4)共同研究者の矢野助手,千葉大学の河合助教授とより高速まで試料を捕獲できるエアロジェルの開発を行っている。より低密度のエアロジェルを作成し,それに高速で微粒子を捕獲させている。今後,粒子を取り出して,捕獲時の物質の変化を調べる予定である。
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