研究概要 |
マントル・ウェッジ特有の過程を明らかにするためにタジャンテ(スペイン),アバチャ(カムチャツカ),イラヤ(フィリピン)および高島(北九州)のかんらん岩捕獲岩中に認められる斜方輝石-斜長石(-石英)の小脈およびかんらん石置換型の二次的斜方輝石に対して集中的に記載・解析を行った.斜方輝石-斜長右(-石英)の組み合わせを持つもの(タジャンテ,高島)は必ず小脈をなし,斜方輝石のみのもの(アバチャ,イラヤ)はかんらん石を不定形で置換していることが特徴である.いずれもフルィド/メルトとかんらん石との反応を示唆するが,産状より,前者をもたらした媒体が後者のものより粘性率が高かったことが推定される.またかんらん石置換型斜方輝石が認められる産地では特徴的に極めて細粒なかんらん岩(F-type)が認められる.このF-typeかんらん岩は通常の粗粒なかんらん岩(protogranular(8160)16porphyroclastic組織)から漸移しており,マントル・ウェッジ特有な応力状態を解析できる可能性があることが判明した.アバチャのかんらん岩では二次的斜方輝石にガラスが伴うが,これがある種のアダカイト的な組成を有する.今のところ,斜方輝石-斜長石小脈をもたらしたものはメルト,かんらん石置換型斜方輝石をもたらしたものはフルイドであったと考えているが,より深部ではメルト/フルイドは完全混合する可能性もあるのでさらなる検討が必要である.さらにニュージーランド北島において予察的に極細粒かんらん岩捕獲岩を見い出した.
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