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2001 年度 実績報告書

分子間相互作用のもとで運動する量子波束の超高速光制御

研究課題

研究課題/領域番号 13440171
研究機関東北大学

研究代表者

佐藤 幸紀  東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (10006158)

研究分担者 大森 賢治  東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (10241580)
キーワード量子波束制御 / コヒーレント制御 / 波束干渉 / アト秒光制御 / 分子振動波束 / 純粋量子状態 / ヴァン・デル・ワールス錯体 / 量子メモリー
研究概要

本研究は、気相におけるヴァン・デル・ワールス(vdW)錯体を対象にし、二連の超短パルスレーザーによって錯体の電子励起状態に二つの核運動量子波束を発生させ、両波束の干渉を利用して波束の時間発展を制御する光技術の開発、及び波束計算による光量子制御機構の解明を目的としている。
この制御法では、二つのレーザーパルス間の時間差(位相差)を微細に制御する技術の開発が重要となる。本研究では、パルス幅300フェムト秒(1フェムト秒=10^<-15>秒)、中心波長254.3nmの紫外域レーザーパルスを用い、気相媒質中での光速変化を利用して初めて1フェムト秒の壁を破る約10アト秒(1アト秒=10^<-3>フェムト秒)の精度で遅延時間を制御することに成功した。これにより、vdW錯体HgArの電子励起状態(A^30^+)に生成した二つの量子波束の強調的な干渉と反強調的な干渉が、424アト秒の時間間隔で繰り返されるのを観測した。424アト秒はレーザー電場周期の丁度半分である。即ち、観測した波束干渉はレーザー電場の周期に同期するコヒーレント制御の結果である。また、波束干渉の30ピコ秒後にA状態の特定の振動固有状態に存在するHgAr分子集団の確率分布を測定すると、確率分布が遅延時間に対して正弦波状に振動し、その変調コントラストが100%近くに達することを観測した。このことは、同種分子集団の純粋量子状態が実現していることを示している。
以上の観測結果を解釈するために、単一パルス及び二連パルスで生成する波束のコヒーレント時間発展をシミュレーションするモデル計算を行った。計算の結果、レーザーパルス間の遅延時間を分子振動の古典的な周期(約1.1ピコ秒)の整数倍に設定した場合と半整数倍に設定した場合とで全く異なる波束干渉モードが分子に記憶されること、424アト秒の遅延時間差は干渉後の波束モードに逆位相の関係を与えることを見出した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] K. Ohmori, K Amano, H.Chiba, M.Nakamura, M.Okunishi, Y.Sato: "Attosecond Coherent Control of the Wave Packet Dynamics in the Hg-X van der Waals Interaction"Spectral Line Shapes, AIP Press, ed. by J. Seidel. Vol.11. 284-286 (2001)

  • [文献書誌] K.Ohmori, K.Amano, H.Chiba, M.Nakamura, M.Okunishi, Y.Sato: "Development of attosecond optical-phase manipulation for the wave-packet engineering"Journal of Photochemistry and Photobiology A : Chemistry. Vol.145. 17-21 (2001)

  • [文献書誌] Y. Sato, H. Chiba, M. Nakamura, K. Ohmori: "Laser Control and Manipulation of Molecules American Chemical Society Book, ed. by A. Bandrauk, R. Gordon, and Y.Fujimura, Symposium Ser. No. 821, Chapter 11, (refereed) Chap. 11"Double-Pulse Manipulation of Vibrational Wavepackets in HgAr van der Waals Complex. 16 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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