1.相関因子で相似変換された有効ハミルトニアンの手法を開発した。二次摂動論と線形化された結合クラスター理論で電子相関の収束が著しく向上することを示した。 2.s-波とp-波のカスプ条件を満たす新しい推進演算子を提案し、二次摂動論に適用した。三電子積分に対する、密度フィットと数値積分の手法を開発し、従来用いられてきたRI法よりも良い収束が得られる事を明らかにした。10数種類の化学反応に適用し、その有効性を示した。 3.露に相関した理論を、ポジトロンを含む原子の計算に応用した。従来の基底関数展開に比較して、ポジトロン親和力が高い信頼度で計算可能である事を示した。 4.第一原理に基づいた量子/古典力学(QM/MM)法を提案した。最小原理に基づき第一原理ハミルトニアンを近似し、構造に依存した有効ハミルトニアンを導く事で、エネルギーの二重数え等、量子/古典境界領域の扱い方の問題を解決した。又、QM/MM法の共役系への拡張や電子相関効果の扱い方を示した。 5.第一原理ハミルトニアンからモデルハミルトニアンを決定する一般法を提案した。真のハミルトニアンと同じ近似下で、同じ励起エネルギー、密度行列を与えるモデルハミルトニアンを決定した。等核2原子分子を表すハバードハミルトニアンに適用し、相関エネルギーを良く再現することを示した。
|