昨年度、赤外アレイ検出器のデータ読み出しはSUNワークステーションを用いたCOGITO 3システムで行った。本年度は、ワークステーションでデータのやり取りを行うバスが旧式になり市場で得ることが困難になってきたので、通常のパソコンを用いたシステムを開発することにした。すなわちマイクロチップ・コントローラSXを用いた新しい様式を採用し、従来と同等なシステムを低価格化、小型化をもって実現できた。このシステムは特許出願準備中である。パソコンにはLINUXを装備し、各素子からのデータはAD変換器によりデジタルデータとして取り込み、画像ソフトIRAFにより解析を行うことができるようにした。 昨年度は、InSb 256 x 256の赤外アレイ検出器を約58Kに冷却したデュワー内に設置して、データ読み出しを行ったが、最適な温度35Kより高かったため、短時間の露光で検出器が飽和する問題があった。そのため、冷凍機を用いて35Kを実現するためのデュワーを製作した。現在、このデュワー中に波長範囲1-5μmの測定が可能な回折格子型分光システムを組みこむため、調整を行っている。 アレイ検出器を用いた本分光システムは、グレーティング分光器を用いて直接赤外発光を検出する方法と、赤外レーザーで分子のある遷移を励起しそこからの赤外発光を観測する方法がある。後者のために、近赤外および中間赤外半導体レーザーの調整を行った。光学部品関係を昨年に引き続き整備するとともに、本年度は、発光セル(真空槽)の製作を新たに行い、10インチの拡散ポンプで排気可能にした。現在、真空槽とアレイ検出器を装着しているデュワーとの結合部分を整備している。
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