研究課題/領域番号 |
13440183
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研究機関 | 特殊法人理化学研究所 |
研究代表者 |
田原 太平 理化学研究所, 分子分光研究室, 主任研究員 (60217164)
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研究分担者 |
山口 祥一 理化学研究所, 分子分光研究室, 研究員 (60250239)
竹内 佐年 理化学研究所, 分子分光研究室, 研究員 (50280582)
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キーワード | 超高速分光 / 時間分解分光 / 光化学 / フェムト秒 / コヒーレンス / 凝縮相 / ダイナミクス / レーザー化学 |
研究概要 |
超高速レーザー分光を用いて凝縮相光化学ダイナミクスの研究を行った。今年度の主な研究成果を以下に列挙する。 1.水和電子の電子吸収に共鳴させてラマンスペクトルを測定すると、電子周りの局所水和構造の振動スペクトルが測定できることをわれわれは初めて見いだし報告した。今年度はさらに、溶媒和水分子のOH伸縮振動とOH変角振動のラマン強度の励起波長依存性を調べ、この効果が溶媒和電子のs→p遷移にもとづく共鳴効果であることを明らかにした。また、偏光測定によって、溶媒和電子のp状態の非縮重性を示す初めてのデータを得た。 2.緑蛍光タンパク(GFP)の発色団分子の溶液中の超高速緩和ダイナミクスを研究した。中性型、アニオン型の両方について蛍光ダイナミクスをフェムト秒時間分解測定したところ、いずれについても、数ピコ秒内で非単一指数関数的に減衰する蛍光時間挙動が観測された。これを、hula-twist型の異性化と分子内振動再分配による緩和モデルによって議論した。 3.非同軸光パラメトリック増幅(NOPA)を用いた超高時間分解2色波長可変ポンプープローブ分光によって、分子内プロトン移動するジヒドロベンゾキノリン電子励起状態の振動コヒーレンス(核波束運動)の観測を行った。反応後の互変異性体からの発光にもとづく誘導放出信号に振動コヒーレンスが観測され、この反応がコヒーレンスを保ったまま進行することが明らかになった。 4.われわれが開発した時間領域時間分解ラマン分光法(TR-ISRS分光)を用いて、1,1'-ビナフチルの電子励起状態における構造緩和の研究を行った。光励起後200psにラマン測定を時間領域で行い、電子脚起一重項状態の低波数(テラヘルツ)領域のラマンスペクトルを得た。結晶の低波数ラマンスペクトルとの比較から、光励起直後におこる構造変化を議論した。
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