• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2002 年度 実績報告書

ケトン類およびオレフィン類の不斉水素化

研究課題

研究課題/領域番号 13440188
研究機関名古屋大学

研究代表者

大熊 毅  名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教授 (50201968)

キーワード不斉水素化 / 単純ケトン / 光学活性アルコール / ルテニウム錯体 / XylBINAP / DPEN / エナンチオ選択性 / 反応機構
研究概要

本研究者の開拓した光学活性ジホスフィンと1,2-ジアミンをともに配位子とする塩化ルテニウム錯体は、2-プロパノール中、塩基の存在下、様々な単純ケトン類の不斉水素化反応において極めて高い活性と立体選択性を示す。しかし、塩化物錯体を触媒前駆体に用いるため、活性種であるルテニウムヒドリド錯体を発生させるためにアルカリ塩基を添加する必要があり、塩基性条件下で不安定な基質の水素化には制限があった。この問題を解決するために種々検討を行った結果、塩化ルテニウム錯体を水素化ホウ素ナトリウムで処理して得られるRuH(η^1-BH_4)(diphosphine)(diamine)が塩基無添加条件でケトン類の水素化に高い活性を示すことを見い出した。光学活性ジホスフィンに2,2'-ビス(ジ-3,5-キシリルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル(XylBINAP)、1,2-ジアミンに1,2-ジフェニルエチレンジアミン(DPEN)を配位子とする錯体を用いて、塩基性条件下で容易に重合生成物を与えるα,β-不飽和ケトンの3-ノネン-2-オンを定量的に対応するアリルアルコールに変換することができた。鏡像体過剰率は99%であった。RuH(η^1-BH_4)錯体を試薬として販売する目的で企業との共同研究を開始した。
本反応の機構解明は、水素化に限らず、有機化学反応の触媒設計に新たな指針を与えるものと考え、検討を行った。塩基を添加することなく活性種を生じるRuH(η^1-BH_4)錯体を触媒前駆体に用いた。構造化学的解析および速度論実験を行うことにより、1,2-ジアミン配位子をもつルテニウムヒドリド錯体が活性種であることを明らかにした。ルテニウムに配位してカチオン性を増した一級アミン水素がケトン基質のカルボニル酸素と相互作用し、同時にルテニウムヒドリドがカルボニル炭素を求核的に攻撃する金属-配位子二官能性機構を提唱した。

  • 研究成果

    (9件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (9件)

  • [文献書誌] T.Ohkuma: "trans-RuH(η^1-BH_4)(1,2-diamine) : A Catalyst for Asymmetric Hydrogenation of Simple Ketones under Base-Free Conditions"J. Am. Chem. Soc.. 124・23. 6508-6509 (2002)

  • [文献書誌] R.Noyori: "My Favorite Organic Synthesis (Stereoselective Hydrogenation of Ketones Catalyzed by Ru(II) Complexes)"Kagaku-Dojin. 253 (2002)

  • [文献書誌] T.Ohkuma: "Comprehensive Asymmetric Catalysis-Supplement I (Hydrogenation of Carbonly Group)"Springer(印刷中).

  • [文献書誌] T.Ohkuma: "Comprehensive Asymmetric Catalysis-Supplement I (Hydrogenation of Imino Group)"Springer(印刷中).

  • [文献書誌] T.Ohkuma: "Comprehensive Asymmetric Catalysis-Supplement I (Hydrosilylation of Carbonly and Imino Group)"Springer(印刷中).

  • [文献書誌] 大熊 毅: "化学便覧 基礎編(水素化・水素移動反応)"丸善(印刷中).

  • [文献書誌] 大熊 毅: "有機合成における解媒反応(カルボニル化合物の水素化)"東京化学同人(印刷中).

  • [文献書誌] 大熊 毅: "有機合成における解媒反応(官能基をもつケトン類の不斉水素化)"東京化学同人(印刷中).

  • [文献書誌] 大熊 毅: "有機合成における解媒反応(単純ケトン類の不斉水素化)"東京化学同人(印刷中).

URL: 

公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi