研究概要 |
2,4-ペンタンジオール架橋反応の特長を生かして、不斉触媒反応を構築するための研究を行い、以下の成果を得た。 1)キラル触媒の形状と架橋への反応点を決めるため、PD架橋のメチル基の位置およびメチル以外の置換基を有する架橋で、光メタ付加反応、ロジウムカルベノイドの芳香族またはオレフィンへの付加、ケテンオレフィン付加を行った。その結果、置換基はPDの2つのメチル基のいずれかにあることが条件であり、その大きさはイソプロピル基よりも小さいことが条件であることが判った。この結果は本年度の春季年会で発表するほか、論文投稿予定である。 2)架橋部上のキラル中心の導入と活性化エントロピーの差の誘起の関係を明らかにするため、キラルパータベーションファクターを新たに定義し、その有効性を証明した。この結果は現在論文投稿中である。 3)キラル触媒としてシクロデキストリンを用い、光付加およびフェノキシラジカルの2量化の立体選択性を検討した。現在のところ分子内付加の収率が低く、立体選択性を明確にするに至っていないが、アキラル架橋部とキラル触媒との相互作用についてNMRを用いて明らかにした。なお、光付加反応に関しては1)の研究の知見からメタ付加より[2+2]付加の方が適していることを見いだしている。 4)キラル触媒として、親水性疎水性の両性を持つ堅牢な空孔を持つ化合物を光学活性ternaphthotetroleから合成し、水中の配位能力を決定した。
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