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2003 年度 実績報告書

エントロピー立体制御による不斉触媒反応の開発:キラル架橋反応の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 13440192
研究機関姫路工業大学

研究代表者

杉村 高志  姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30187661)

キーワード不斉触媒反応 / エントロピ / キラル架橋反応 / 分子内反応 / ラジカル反応 / 光反応
研究概要

2分子のフェノール誘導体を2位に置換基を持つプロパンジオールで架橋し、水とエーテルの二層系でフェロシアン化ナトリウムを用いて酸化した。生成したジラジカルのカプリングはプンメラー型生成物とポリマー状の物質であった。プンメラー型生成物はほぼ1:1のジアステレオマー混合物であり、その収率は最高47%であった。この反応に光学活性なβシクロデキストリンを加えると、収率は若干低下するが、立体選択性が向上し、2位の置換基がベンゾイルオキシ基の時に47%過剰率を達成した。収率が低下するのは末端にあるフェノール基が包摂され、立体選択性が誘起されたのは中央部のベンゾイル基が包摂されたためと考えられる。一方、副生するポリマーは、プンメラー型生成物の位置異性体が生成し、その後分解するためと決定した。
架橋部自体がキラルな反応の研究も継続して行った。ジアゾ化合物のフラッシュ熱分解により生成したケテンのオレフィンへの付加における立体化学は400℃と高温にもかかわらずよく制御でき、99%以上の純度で生成物が得られた。この研究は、初めての気相不斉合成に相当する。ジアゾ化合物を用いるキラル架橋不斉合成はシクロプロパン化やブックナー反応(ベンゼノイド化合物の環拡大反応)で多くの光学活性物質を実際に合成し、またその反応を行った。特にブックナー反応の生成物から、立体選択的水素化過程を経る昆虫フェロモン、スペラピロンの形式合成や新しいヒドロホウ素を適用したポリケチドの部分合成に成功した。また、キラル架橋反応の新しい例として水酸基により制御されたディールスアルダー型の反応を行い、高立体区別を達成すると同時に、新奇な転位反応も見いだした。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] T.Sugimura: "Asymmetric Synthesis of gem-Dimethylcyclopropane-fused Compounds through Chemo-, Regio-, and Stereoselective Cyclopropanation and Stereospecific Rearrangement"Chem.Lett.. 32.2. 128-129 (2003)

  • [文献書誌] T.Sugimura: "Chiral and flexible 2,4-pentanediol-tethered cyclopropanation of olefins with a carbenoid derived from a diazo ester to construct three stereogenic centers"Tetrahedron : Asymmetry. 14.7. 881-890 (2003)

  • [文献書誌] T.Sugimura: "Asymmetric Synthesis by Vapor Phase Pyrolysis"Tetrahedron Lett.. 44.15. 3115-3117 (2003)

  • [文献書誌] T.Sugimura: "Entropy-Driven Asymmetric Synthesis with Chiral Tether"Euro.J.Org.Chem.. 6.6(in press). (2004)

  • [文献書誌] T.Sugimura: "[6+2] Cycloaddition of N-phenyltriazolinedione with cycloheptatriene derivatives mediated and stereodirected by a chiral 3-oxy substituent"Tetrahedron Lett.. 45.7. 1519-1521 (2004)

  • [文献書誌] T.Sugimura: "Regioselective Formation of Optically Active Cycloheptatrienes by Chiral Tethered Buhner Reaction"Chem.Lett.. 33.4(in press). (2004)

  • [文献書誌] 日本化学会編: "先端化学シリーズI 有機金属・キラル・触媒・高分子"丸善. 285 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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