研究概要 |
(1)メチル鉄錯体Cp*Fe(CO)_2Me(Cp*=η^5-C_5Me_5)をかさ高い置換基を持つジメシチルトリメチルジシランMes_2MeSiSiMe_2H存在下で光照射したところ,塩基の配位していないシリル(シリレン)鉄錯体Cp*Fe(CO)_2(=SiMes_2)SiMe_3(1)が得られた。1の^<29>SiNMRでは,シリレン配位子に帰属されるシグナルがδ366ppmという非常に低磁場に現れた。また1の結晶構造解析を行った結果,鉄-シリレン配位子間の結合が非常に短いこと,シリレン配位子のケイ素周りが平面であることなどが明らかになった。 (2)キレート型ビス(シリル)配位子を持つルテニウム錯体が,ヒドロジシランのオリゴマー化反応に対して非常に良い触媒となることを見いだした。また,アルコキシヒドロジシランを用いることで,オリゴマー化反応の中間体を安定化したと見なせる分子内塩基で安定化されたシリル(シリレン)錯体を単離することに成功した。 (3)シリルマンガン錯体Mn(CO)_5SiTol^p_2H(2)にLiAlH_4,NaBH_4あるいはNaBH_3(CN)をTHF中で反応させると,Mn-Si結合が切れてヒドロシランSiTol^p_2H_2が生成した。一方,ジエチルエーテル中で2とNa[(CH_3OCH_2CH_2O)_2AlH_2]またはLiAlH_4を反応させたところ,(CH_3)SiTol^p_2Hおよび((C_2H_5)SiTol^p_2Hが得られた。これは反応中にカルボニル配位子の還元とSi-CおよびC-C結合生成が起こっていることを示している。
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