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2003 年度 実績報告書

遷移金属イオンが関与する酵素反応とDNA損傷に関する理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 13440196
研究機関三重大学

研究代表者

吉岡 泰規  三重大学, 工学部, 教授 (00291451)

キーワードシトクロムc酸化酵素 / 酸素還元 / プロトン移動 / 遷移金属イオン / 水素結合 / DNA損傷 / グアニン / 密度汎関数法
研究概要

1)還元型シトクロムc酸化酵素は酸素分子を水分子に4電子還元する機能を有していることが知られているが、その反応機構に対し実験サイドから多くの提案があるものの確定していなかった。我々は電子論的立場に基づき理論化学計算をもちいて、水分子の生成機構と反応にともなう電子状態の変化を明らかにした。反応機構をまとめると、a)His290とTyr244とに水素結合によって水分子が存在する。この水分子は、Tyr244、ファルネシルエチル、K-channelの末端であるThr316まで水素結合のネットワークが存在し、還元反応に必要なプロトンがこのネットワークを介してこの水分子まで移動する。b)プロトン移動によって水分子はヒドロニウムイオンとして、ヘム鉄に結合して酸素分子にプロトンを運び、プロトンをFeOOにわたした後、水分子として元の位置に戻ることが判った。すなわち、この水分子がプロトン供給に重要な役割を担っている。c)プロトン移動によってFeOOHが生成し銅原子からFeOOHへ電子が移動し、銅原子は1価から2価に変化する。d)酸素分子が存在しない時のプロトン移動の活性化エネルギーを12kcal/molと評価した。e)2個目のプロトンもこの水分子によって運搬される。f)これらのプロトン移動間にヘムaから2電子が移動し水分子が生成することがわかった。本研究によって、完全還元型シトクロムc酸化酵素による1個目の水分子の生成機構を理論化学計算から明らかにすることができた。2個目の水分子の生成機構を明らにすることが次の課題である。
2)Cu(I)イオン存在下、5'-XG_1G_2G_3- 3' (X=T or C)の1電子酸化による損傷は、G_1が選択的に損傷を受けることが実験サイドから報告されている。本研究では、Cu(I)イオンがGのN7位に配位した構造を基に、5'-,XG_1G_2G_3- 3'とそのラジカルカチオン状態の安定性と電子状態を量子化学計算から検討した。その結果、Cu(I)イオンが5'- XG_1G_2G_3- 3'のG_2に選択的に配位することが一電子酸化のG_1の選択性の要因になっていることを解明した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Y.Yoshioka et al.: "Theoretical Study of Hydrogen-Bonded Network and Proton Transter in the Active Site of Reduced Cytochrome c Oxidase"Internet Electron.J.Mol.Des.. 2. 732-740 (2003)

  • [文献書誌] Y.Yoshioka et al.: "Theoretical Study of Role of H_2O Molecule on Initial Stage of Reduction O_2 Molecule in Active Site of Cytochrome c Oxidase"Chem.Phys.Lett.. 374. 45-52 (2003)

  • [文献書誌] Y.Yoshioka et al.: "Ab Initio Molecular Orbital Study on the G-Selectivity of GGG Triplet in Copper(I)-Mediated One-Electron Oxidation"J.Am.Chem.Soc.. 125. 1968-1974 (2003)

  • [文献書誌] Y.Yoshioka et al.: "Thermal Reactions of 3-Furyl Fulgide and 3-Thienyl Fulgide. Ab Intion Molecular Orbital and CASSCF Studies"J.Mol.Struct.THEOCHEM. 623. 167-178 (2003)

  • [文献書誌] Y.Takano et al.: "Theoretical Studies of Magnetic Interactions in Mn(II)(hfac)_2{di-(4-prydyl)pheny lcarbene} and CU(II)(hfac)_2{di-(4-prydyl)phenylcarbene}"J.Am.Chem.Soc.. 124. 450-451 (2002)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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