研究概要 |
ホスフィド架橋カチオン性二核希土類アルキル錯体触媒によるイソプレンの立体特異的イソタクチック3,4-重合 希土類トリスアルキル錯体Ln(CH_2SiMe_3)_3(THF)_2とMe_2Si(C_5Me_4H)(PHR)との反応によって得られたシクロペンタジエニル-ホスフィド錯体[Me_2Si(C_5Me_4)(μ-PR)LnCH_2SiMe_3]_2はホスフィド架橋によって安定な二核構造を形成し、二つのアルキル基CH_2SiMe_3がターミナルな位置に配置されている。これら新規二核希土類錯体を1当量の[Ph_3C][B(C_6F_5)_4]と反応させると、対応するカチオン性モノアルキル活性種が生成することがわかった。これらのカチオン種を触媒としてイソプレン重合に用いたところ、イソタクチックな3,4-ポリイソプレンが選択的に得られた。イソプレンの立体特異的なイソタクチック3,4-重合として、初めての例である。 PNP配位子を有するジアルキル希土類金属錯体の合成とイソプレンの1,4-シスリビング重合 シクロペンタジエニル基とは異なるモノアニオン性3座配位子として、ホスフィノ基を2つ有するアミド3座配位子bis(2-diphenylphosphinophenyl)amine(PNP配位子)を1当量のLn(CH_2SiMe_3)_3(THF)_2と反させると、対応するPNP配位子を有するジアルキル希土類金属錯体がほぼ定量的に得られた。これらの錯体を1当量の[Ph_3C][B(C_6F_5)_4]と組み合わせて触媒として用いたところ、イソプレンの1,4-シスリビング重合が選択的に進行することがわかった。イソプレンの1,4-シス重合が古くから知られているが、リビング的に実現したのは今回が初めてである。
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