磁性コロイド複合粒子の作成と磁場による構造色の制御;ゾル-ゲル法を用いて、強磁性体微粒子を作成し、さらに、その微粒子をシリカで包んだ強磁性体-シリカ複合粒子(Core-Shell particle)を作成した。その強磁性複合粒子を用いて、3次元-コロイド結晶を組み上げ、その結晶の磁場応答性を検証した。極限まで脱塩された水に、単分散のコロイド粒子を分散させると、コロイド粒子は、表面電荷の静電反発力により、互いを退けあい、粘性により運動量を失いつつ、次第にエネルギー的に最も安定な3次元の格子点を占め、コロイド結晶を組み上げた。合成した強磁性複合粒子(γ-Fe_2O_3-SiO_2 Core-Shell particle)を超純に分散させ、角度分解可能な反射スペクトル測定装置で、光入射角の関数としてコロイド結晶の反射スペクトルを測定した。磁性を持ったコアシェル粒子のコロイド結晶に際しては、入射角および磁場の関数として、反射スペクトルを測定し、結晶格子の磁気変形の素性を明らかにした。シリカコロイド結晶中での励起状態化学;粒径100nmのシリカ粒子でコロイ結晶を組み、チオフェンオリゴマーあるいはローダミンBを溶液中にとかして、蛍光寿命を測定した。測定には、フェムト秒チタンサファイヤレーザーの第2高調波を用いて、和周波発生法により光学遅延時間の関数として蛍光強度を測定した。残念ながら、雑音の範囲を越えた有意な寿命の増加は見られなかった。この事は、シリカと水の屈折率差が少なく完全な光禁制帯が得られていないことを意味する。この不具合を克服するために、より屈折率の大きな2酸化チタンを用いて単分散粒子を合成し、コロイド結晶化する方向と、粒径分布を広げて結晶構造に乱れを導入し、擬バンドを作成する方法の2つの視点から問題の解決を図っている。
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