研究概要 |
金属ナノ粒子はそれ自体の大きさがナノサイズで最新リソグラフの限界をすでに超えており、ナノテクノロジーの一翼を担う物質として近年極めて活発な研究対象となっている。 我々はここ数年来試みてきたナノ粒子を人工原子とする結晶(ナノ粒子結晶)の作成に一昨年に初めて成功した。ここで得られたナノ粒子結晶の物性を測定し、それが単一粒子のときとまたバルク金属の時とどのように違うかを明らかにするのが本研究のテーマである。更に粒子対象を表面修飾子も含めて拡大し、そのサイズ依存性、修飾子の分子構造依存性を明らかにするのも目的の1つである。まだ得られている結晶のサイズも5ミクロン程度と小さく、試料の全量も少ないため少量サンプルでも測定できる物性測定(透過型電子顕微鏡による構造測定、STMによる表面構造の測定、分光法による電子状態の測定)を本年度に行う計画を立て、実際に可視、紫外分光法により粒子結晶の時とアモルファス状の薄膜の時で明瞭なスペクトルの差異を見いだした。結晶像を得るためにTEM, SEM, STM,光学顕微鏡など多くの顕微鏡観測を行った。 また対象物質も修飾剤がメルカプトコハク酸(MSA)のみであったものをエステル化により表面改質を行う事を計画し、予備実験に成功した。また水素結合、イオン結合により粒子間スペーシングの設計を行うことも試みた。修飾子をMSAからさらにペプチドに一種であるグルタチオンに拡大しナノ粒子の100mgスケールでの合成にも成功した。
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