| 研究概要 |
「イオンの回りのミクロ環境及び水構造制御による高機能発現」を活用した「高機能イオン会合性試薬の設計・合成と新規合成試薬を用いる分離・分析法の開発」を目的に研究した.
1.イオン会合試薬周囲の親水性・疎水性・電子密度のコンピューター評価と試薬設計:モデルイオン会合試薬について,イオン回りの電子密度,電荷密度の計算,それらの結果に基づく溶媒和の予測とイオン移動度の相関に関する情報を初めて得た.2.イオン周囲のミクロ環境制御型イオン会合試薬の設計・合成:イオンの回りの電子密度・電荷密度の計算結果に基づき,イオン会合に及ぼす疎水性相互作用とソルバトクロミズム発現の両機能を有する試薬として,陽イオン性のフェニルアゾジアルキルアニリン系試薬の合成に成功し、疎水性陰イオンとイオン会合し,可視部に鋭敏な発色を示すことを確認した.3.精密移動度測定によるイオンのストークス半径,疎水性尺度,置換基寄与の決定:精密電気泳動移動度測定により求めたイオン移動度を用いてこれらの値を決定した.得られた値から計算結果を評価し,より精密な試薬設計・合成指針にフィードバックし,新たな試薬の設計・合成に活用した.4.HPLC及び電気クロマトグラフイーによるイオン会合反応解析法の開発:UV吸収を示さないイオンのイオン会合反応解析法を新たに開発し,イオン会合定数,イオンの回りの水構造,イオン会合体の回りの水構造に関する新しい知見を得た.これらめ知見は,今後の高機能試薬設計指針に活用できる.
|
