研究分担者 |
長谷川 雅美 東邦大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40250162)
加藤 和弘 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60242161)
恒川 篤志 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60227452)
上條 隆志 筑波大学, 農林学系, 講師 (10301079)
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研究概要 |
標高500mから上の森林は木々がなぎ倒され,崩壊していた.500mより下では,下に行くほど森林が徐々に姿をとどめ,夏には緑の量が次第に増加している状態が認められた.標高300mから下の森林では,木々が幹から直接葉を出している胴吹きの様子が見られた.標高100m以下の都道周辺では,森林は噴火前とほとんど変わらず,緑が色濃く残っていた.山腹でも都道周辺でも,スギやヒノキなどの造林地の多くは,降灰や火山ガスなどの影響を受けて赤茶色に変わっていた.造林樹木以外では,タブノキ,ヒサカキ,ホルトノキなどが強い影響を受けていた. 島の動物相を象徴する鳥の世界は,生活の場である森林の被害の状況に応じて変化していた.標高400m付近から山を下っていくと,森林の緑の多さに応じて鳥の種数や個体数が増加していた.葉をつけている高木の割合と低木の割合の合計(最大で200%)を緑の多さの指標とすると,その割合が50%,100%,150%の時,鳥の種数はそれぞれ8種,12種,30種となっていた(5月中旬の記録).都道沿いにある大路池の森林では,冬にはアカコッコ,ヤマガラ,カラスバトなどの姿が目につかなかったが,春から夏にかけては,多くの鳥の密度が噴火前とほとんど変わらない程度にまで回復した.
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