研究概要 |
今年度は,主に冷温帯から暖温帯にかけての地域について、花粉組成と周辺植生との関係の定量化に関する調査をおなった。試料採取方法について検討し,暖温帯では,開発が進み湿原などでの試料採取が困難であることから,次の条件で水田の表層土壌を対象とした。すなわち,直径200 500mの大きさの水田で,林縁部から100m以上離れた水田の中央部の表層土壌を採取した。試料採取地は,愛媛県石鎚山系(冷温帯),兵庫県山陽地方(暖温帯),茨城県つくば市周辺(暖温帯-冷温帯)、京都府丹波山地・丹後半島(暖温帯-冷温帯),滋賀県大津市周辺(暖温帯)、奈良県大台山系(冷温帯-亜高山帯),愛知県名古屋市周辺(暖温帯)、愛知県岡崎市周辺(暖温帯)、宮城県仙台周辺(暖温帯-冷温帯),岩手県盛岡周辺(冷温帯),北海道渡島半島周辺(冷温帯)である。また,これらの地域の試料採取地点周辺部における植生の概観を調査した。 また、現存植生の調査として、愛媛県高縄半島のモミ・ツガ林(冷温帯-暖温帯)、愛媛県松山市の照葉樹林(暖温帯)において、林分構造、種組成の詳細な調査を実施した。 化石花粉の分析に関しては,高知県南国市伊達野および京都府丹後半島大フケ休耕田において堆積物を採取した。それぞれの試料について花粉分析を行い完新世における照葉樹林およびスギを伴う冷温帯林の変遷を明らかにした。それぞれの堆積物には,約6千年前を示すK-Ah火山灰層を含んでいた。 現在,これらの試料の分析を進めているところである。
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