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2002 年度 実績報告書

植物遺伝子の新しい温度依存的発現制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 13440242
研究機関九州大学

研究代表者

射場 厚  九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (10192501)

キーワード温度 / ω-3デサチュラーゼ / トリエン脂肪酸 / シロイヌナズナ
研究概要

特定の環境刺激に対する応答に関わる制御領域を同定する研究では、自的遺伝子の隣接領域、特にプロモーターと推定される5'側近傍領域にレポーター遺伝子を接続したキメラ遺伝子を利用する手法が多用されてきた。トリエン脂肪酸生成酵素ω-3デサチュラーゼの温度的な発現制御に関わるFAD8の遺伝子領域を同定する目的で同手法を適用したが、FAD8の発現をレポーター遺伝子により可視化することには成功しなかった。また、3つのω-3デサチュラーゼイソ酸素遺伝子(FAD, FAD3, FAD7)の近傍における詳細なゲノム構造の解析から、FAD8が集約的な発現制御機能を備えたプロモーターに依存しない、新奇な発現制御システムを有することを示唆するデータを得た。本研究では従来の解析手法の制約を克服するために、独自の発現解析技法を確立した。シロイヌナズナのFAD7fad8二重変異体では、トリエン脂肪酸含量が全温度域において基底レベルに低下しており、温度依存的な変動を示さない。この二重変異体におけるそのような形質を、種々のFAD8の改変遺伝子や、温度に対する発現レスポンスの異なるFAD7-FAD8両遺伝子間のキメラ遺伝子により相補する試みから、次のような2つの重要な知見を得た。第1に、FAD8の量的な発現が自身に固有のエキソン-イントロン構造を必要とすること、第2に、FAD8の温度依存的な発現がタンパク質C末端コード領域により決定されていることである。これらの知見は、レポーター遺伝子の利用がFAD8の発現制御解析に不適であったことと矛盾しないばかりでなく、従来の手法を使用する限りにおいて原理的に察知し得ない、極めて新規性に富む発現制御機構を示唆するものである。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Y.Matsuda et al.: "Nitric oxide-reductase homologue that contains a copper atom and has cytochrome c-oxidase activity from an aerobic phototrophic bacterium Roseobacter denitrificans"J. Biochem.. 131. 791-800 (2002)

  • [文献書誌] K.Iba: "Acclimative response to temperature stress in higher plants : Approaches of gene engineering for temperature tolerance"Annu. Rev. Plant Biol.. 53. 225-245 (2002)

  • [文献書誌] G.Horiguchi et al.: "Mutations in a gene for plastid ribosomal protein S6-like protein reveal a novel developmental process required for the correct organization of lateral root meristem in Arabidopsis"Plant J.. 33. 1-9 (2003)

  • [文献書誌] K.Iba: "Trienoic fatty acids and plant tolerance of temperature"Natu. Med.. (in press). (2003)

  • [文献書誌] 杉本広樹, 射場 厚: "高等植物における葉緑体分化の遺伝子制御"蛋白質 核酸 酵素. 47. 1765-1770 (2002)

  • [文献書誌] 楠見健介, 射場 厚: "葉緑体分化の制御機構"細胞工学別冊 植物細胞工学シリーズ. 17. 123-129 (2002)

  • [文献書誌] 平田徳広, 射場 厚: "朝倉植物生理学講座1 植物細胞"朝倉書店. 180 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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