研究課題/領域番号 |
13440243
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
島崎 研一郎 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00124347)
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研究分担者 |
木下 俊則 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (50271101)
土井 道生 九州大学, 大学教育センター, 助手 (00167537)
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キーワード | 気孔 / プロトンポンプ / 孔辺細胞 / リン酸化 / 脱リン酸化 / フォトトロピン |
研究概要 |
昨年の分子遺伝学的研究により、細胞膜H^+-ATPaseのリン酸化の上流にフォトトロピンが機能することが明らかになった。しかし、フォトトロピンが実際に細胞膜H^+-ATPaseの上流で機能している事を示す生化学的証拠は皆無であった。そこで、まずソラマメ(Vivia faba)フォトトロピンをクローニングした。これらは2つありそのアミノ酸配列から両者ともにシロイヌナズナのphotlに類似しており、それぞれvfphotlaとvfphotlbと名付けた。この両者の相同性の高い領域を大腸菌に発現させ、それを抗原にして抗体を作成した。この抗体はvfphotla、vfphotlbともに反応した。しかし、分子量が同じであるため両者を区別して認識する事は出来なかった。この抗体を用いて^<32>Pを加えた孔辺細胞プロトプラストに青色光照射を行い、免疫沈降を行った。その結果、vfphotsが沈殿し、青色光によりリン酸化された。また、この時の時間変化を細胞膜H^+-ATPaseのリン酸化と比較した。細胞膜H^+-ATPaseのリン酸化レベルの測定は、この酵素の抗体により免疫沈降を行ったものに対して行った。vfphotのリン酸化は細胞膜H^+-ATPaseより早く起こった。また、このvfphotと細胞膜H^+-ATPaseの青色光依存性は同じであり、7.5マイクロモル/m2/sの光強度で30秒青色光照射により50%飽和した。さらに、タンパク質リン酸化酵素の阻害剤スタウロスポリンとフラビンタンパク質に対する阻害剤DPIに対する感受性は、この2つの酵素ではほぼ同一であった。以上の結果は、フォトトロピンが孔辺細胞の青色光受容体として機能し、細胞膜H^+-ATPaseに活性化のシグナルを伝達している事を示している。
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