研究課題/領域番号 |
13440243
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
島崎 研一郎 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00124347)
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研究分担者 |
木下 俊則 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (50271101)
土井 道生 高等教育総合開発研究センター, 助手 (00167537)
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キーワード | 気孔 / プロトンポンプ / 孔辺細胞 / リン酸化 / 脱リン酸化 / ABA |
研究概要 |
孔辺細胞の青色光光情報伝達にタンパク質のリン酸化、脱リン酸化が関与する多くの証拠がある。一方、植物ホルモンアブシジン酸(ABA)はこの青色光による細胞膜H^+-ATPaseの活性化を阻害する事を既に報告している。本年度は、この間題を追求し、ABAが青色光情報伝達を阻害し、細胞膜H^+-ATPaseのリン酸化を阻害することにより活性化を抑制する事を見出した。また、この過程に中間情報伝達体としてH_2O_2が関与する事を見出したので、あわせて報告する。 1)ABAを添加すると青色光依存のプロトンの放出が70%ほど阻害される。この時、細胞膜H^+-ATPaseの加水分解活性が同様に70%阻害された。 2)同一条件で細胞膜H^+-ATPaseのリン酸化レベルを測定するとABAにより大きく阻害され、それも、70%程度の阻害であった。 3)同様にH_2O_2を添加すると、プロトン放出、リン酸化レベルが同じ程度阻害され、ABA(10μM)による阻害は、外から加えた1mMのH_2O_2と同程度であった。 4)この時、H_2O_2の消去剤であるアスコルビン酸を共存させておくと、H_2O_2による阻害が50%軽減された。 5)H_2O_2の濃度を蛍光指示薬DCECFで追跡すると、孔辺細胞プロトプラストにおいてABAによるH_2O_2の生成が認められた。以上の結果からABAは細胞内にH_2O_2を生成し、リン酸化を阻害することにより細胞膜H^+-ATPaseの活性化を阻害すると結論した。 6)さらに、H_2O_2を単離細胞膜H^+-ATPaseに添加したが、全く作用しなかった。この事はH_2O_2が細胞内の情報伝達体、おそらく、プロテインキナーゼあるいはプロテインフォスファターゼに作用していることを示す。 7)さらに、細胞膜H^+-ATPaseの活性化剤フジコツキンに依存した細胞膜H^+-ATPaseの活性化はABAにより、わずかに、しかし、有意に阻害された。同様に、H_2O_2によってもわずかの阻害が認められ、この場合もABAの作用はH_2O_2を介すると考えられた。
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