タバコ培養細胞BY-2から分子量210kDaの微小管結合タンパク質を単離精製した。BY-2細胞より脱液胞化細胞を調製し、粗拙出分画を陰イオン交換樹脂により分画したところ、分子量210kDaの微小管結合タンパク質を含む分画を得た。これをhydroxyapatiteによりさらに分画したところ、分子量200-220kDa付近に3種類のタンパク質が見出された。このうち210-3と命名したタンパク質の部分アミノ酸配列から、XMAP215/TOGファミリーの分子種であることが推測された。生化学的実験から210-3は130000xg、5分で沈殿しない短い微小管の形成を促進すること、微小管の端に結合することなどが示唆された。Arabidopsisのmor1遺伝了はXMAP215/TOGのホモログをコードする遺伝子であること、この欠失は微小管を不安定化することが知られており、210-3の微小管安定性への寄与を生化学的に明らかにすることが今後の課題である。210-2、210-3についてはモノクローナル抗体を作製した。前者は核及び前期前微小管束に分有し、後者は特に表層に点状に存在していた。210-2に関する生化学的実験や遺伝子クローニングは今後の課題である。
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