タバコ培養細胞BY-2からミニプロトプラストを調製し、チューブリンを重合させ形成された微小管に結合するタンパク質を精製した。分子量200kDa付近には2種類のタンパク質を見出した。現在、MAP210とMAP200と呼んでいる。前者は部分アミノ酸配列決定により、Arabidopsis MORIのホモログであることがわかった。in vitroの解析からMAP210はチューブリンと結合し重合核を形成すること、重合速度を高めること等が明らかになった。抗体を作製し、細胞染色を行ったところ、細胞質全体が点状に染まり、多くのMAP210が細胞質に分散して存在していることが示唆された。細胞質における微小管とチューブリン間の平行状態の制御に関わっているものと推察された。一方、MAP200は抗体を作製し、これを用いて遺伝子クローニングを行っているところである。現在の所、既知のタンパク質との相同性は見出されておらず、新規の微小管付随タンパク質である可能性が考えられる。また、微小管タンパク質分画をイオン交換カラムにより分画すると初期溶出分画に分子量65kDaのタンパク質が見出された。この分画には既知のMAP65と未知の65kDaタンパク質が混在していた。既知のMAP65は主に高濃度NaClで溶出されるので、このMAP65の存在はMAP65の制御機構と関連がある可能性がある。また、未知の65kDaタンパク質は今後解析する予定である。
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