タバコ培養細胞BY-2の脱液胞化プロトプラストを材料として、MAP200(210-3を改称)を単離・精製し、その性質を調べた。その結果、以下の性質が明らかになった。1.MAP200はTMBP200と同一のタンパク質である。2.TMBP200と異なり、微小管を束化しない。3.チューブリンの重合を促進する。4.チューブリンと複合体を形成する。5.細胞質ゾルに多く存在し、一部が微小管に結合している。これらの結果から、MAP200は細胞質でチューブリンと複合体を形成し、微小管へ運ばれ、その伸長を促進するという分子機構の仮説が考えられた。65kDa MAPについてはHossey博士との共同研究により、420番目のアラニンが微小管との結合に重要であること、分裂阻害変異体であるpleiade4はこの部位が変異していること、65kDa MAPはダイマーを形成し、N末領域がこれに関わっていることが明らかになった。一方、表層微小管構築にタンパク質リン酸化が関与している可能性を検証した。タバコ培養細胞BY-2をkinase阻害剤であるDMAP存在下でプロトプラスト化し、ゴーストを作製して微小管を観察したところ、微小管の配向が乱れていた。また、単離表層微小管をphosphatase処理すると微小管が解離した。651kDa MAPがリン酸化タンパク質であることは以前の研究から明らかになっていたが、今回の実験から65kDa MAPの表層微小管束化がリン酸化によって制御されている可能性が強く示唆された。
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