研究概要 |
本年度は以下に箇条書きする通りの調査を実施し,成果を得た。 (1)金華山ニホンザル個体群の群れオスと群れ外オスの総頭数を調べた。結果は35頭と58頭,1対1.7だった。 (2)金華山全域で群れ外オスの分布調査を行い,片寄りのあることが分かった。 (3)群れ外オスの固体識別を行い,20頭以上を識別した。 (4)識別したオスの個体追跡を実施,馬のり,毛づくろい,抱擁等の社会的交渉の具体事例を収集した。 (5)オス・グループの離合集散の実態に関する調査を行い,メンバーの安定性がかなり高いことが判明した。 (6)群れと群れ外オスの同時追跡調査を行い,両者の日常の関係について調べた。 (7)金華山個体群で生まれるアカンボウの性比について,この20年間のデータを整理し,1対1であることを確かめた。 (8)オスの出自群離脱年齢について同様のデータを整理し,4〜6歳が92%と圧倒的に多いことが分かった。 (9)明確な外傷によって固体識別された2頭のオスの履歴について,過去のデータにさかのぼって整理し,それぞれがこれまで島でどう暮らしてきたかを明らかにした。 (10)過去20年間の死体収集記録を分析した結果,ワカモノ以上の固体についてオスとメスの比率は,1対1.27だった。
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