研究課題/領域番号 |
13450005
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
上野 信雄 千葉大学, 工学部, 教授 (40111413)
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研究分担者 |
解良 聡 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (10334202)
奥平 孝司 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (50202023)
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キーワード | 光電子顕微鏡 / 有機薄膜界面 / 有機デバイス / 有機 / 金属界面 / 表面拡散 |
研究概要 |
これまでの研究で、凸凹や異なる物質が近接存在する基板表面上への有機分子の蒸着では、基板の凹凸、物質の相違を反映する有機分子の集合が観測された。一方、昨年度の研究で、MoS2上にセミエピタキシャル成長させたPTCDA薄膜上にインジューム(In)を正方形状に蒸着すると、紫外光を光源とする光電子放射顕微鏡で三角形の明るいイメージコントラストが観測されるという特異な現象が見いだされた。XPS(X線光電子分光)イメージングによってIn原子の分布が三角形状であることが観測されたことや、PTCDAとInとの界面反応生成物のイオン化エネルギーがPTCDAより小さいというこれまでの実験結果から、本現象が、PTCDAとIn原子との界面反応に関連した異方性2次元拡散による特異現象と考えられ、有機デバイス構築上きわめて重要な現象であると判断された。本年度は特にこの原因を調べる研究を行った結果、以下の結果が得られた。 1.上記現象がPTCDA単分子層では観測されない。 2.晶構造の異なる基板結晶を用いると基板表面の対象性を反映させた異なる形状のイメージが観測される。 3.PTCDAと反応しない金属を用いた場合には、三方向の金属拡散が観測されない。 以上から、In/PTCDA/MoS_2でのInの三方向異方性拡散は、InとPTCDAとの強い化学的相互作用によるものであり、PTCDA薄膜の2時限的拡散だけでなく膜厚方向への拡散も重要な役割を演じていることが分かった。
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