研究課題/領域番号 |
13450008
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 耕三 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (00232439)
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研究分担者 |
下村 武史 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (40292768)
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キーワード | 導電性高分子 / 分子素子 / 分子被覆導線 / 分子導線 / 超分子 / 包接錯体 / 原子間力顕微鏡 / ナノテクノロジー |
研究概要 |
我々は、最近絶縁性の環状分子であるシクロデキストリンから合成されたチューブ状分子、分子ナノチューブを代表的な可溶性導電性高分子であるポリアニリン(PANI)と溶液中で混合したところ、紐状の導電性高分子がチューブ状分子の空洞内に自発的に潜り込んだ超分子構造体いわば分子被覆導線が形成される現象を見出した。本研究では、この分子被覆導線を基板上の外部インターフェイス電極間に配し、外部インターフェイス電極間の電気特性の測定を行い、分子被覆導線の電気的特性を評価することを目指している。 これまでの研究において、SiO_2上に貴金属からなる2端子の対向電極を作成し、基準物質としてその1本の導電率の測定がなされているカーボンナノチューブを電極間に配してその電気物性を測定したが、大きな接触抵抗があり、分子本来の導電率の測定が困難であることがわかった。そこで初年度である本年度は、SiO_2上に貴金属の4端子電極(電極間距離500nm程度)を形成し、その間に分子被覆導線を配して、導電率を測定することを目指した。数100nm間隔で電極を4本引くことは通常の光リソグラフィーでは不可能であるので、AFMリソグラフィーを用いて、電極作成を行った。これまでに4端子電極基板の作成には成功し、現在基準であるカーボンナノチューブの測定を行っている。この4端子電極基板を用いれば、たとえ分子被覆導線の抵抗が接触抵抗に比べてかなり小さくとも、分子本来の導電率が見積もられることが期待される。また、この基板は下地にSiO2を、電極に貴金属を用いているため、耐腐食性に優れ、基板上において導電性高分子をプロトン酸や酸化剤などでドーピングする際にも適用可能であると考えられる。
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