研究課題/領域番号 |
13450010
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
干川 圭吾 信州大学, 教育学部, 教授 (10231573)
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研究分担者 |
岡野 泰則 静岡大学, 工学部, 助教授 (90204007)
大石 修治 信州大学, 工学部, 教授 (50021027)
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キーワード | シリコン結晶成長 / チョコラルスキー法 / ボロンの移動・拡散現象 / ボロン濃度分布 / 種子づけ界面 / 高濃度ボロン添加種子 / 結晶成長条件 / ミスフィット転位 |
研究概要 |
昨年度は、高濃度ゲルマニウム添加シリコン融液と石英るつぼの反応解析を行ったが、今年度はCZシリコン結晶成長における高濃度ボロン添加種子結晶と低濃度添加成長結晶間のミスフィット転位抑制に関わるボロン原子の高温下での移動現象について検討した。以下に代表的な結果を列挙する。 1.高濃度ボロン添加種子からのボロンの異常拡散現象 種子結晶と成長結晶間に大きな格子定数差があってもミスフィット転位が抑制される原因は、種子づけ界面近傍に緩やかなボロン濃度分布が結晶成長開始直後に形成されるためである。この分布形成は、数値解析により種子と成長結晶の格子定数差起因で生じるひずみによるボロンの異常拡散現象を考慮することにより説明できるが、実際には計算で期待されたほど異常拡散は起こっていないことを結晶育成実験により確認した。 2.結晶成長開始直後の緩やかなボロン濃度分布の形成機構 結晶成長開始前の種子づけ状態および開始直後の成長速度によるボロン濃度分布に与える影響をボロンの固体および液体中の拡散および偏析現象を考慮した数値解析により検討した。その結果、種子づけ状態での保持時間が長いほど、界面近傍により緩やかなボロン濃度分布が形成されることを確認した。一方、結晶成長開始直後の一定時間内において、成長速度がボロン濃度分布に与える影響は全くなかった。 3.より緩やかにボロン濃度分布が形成される条件下での結晶育成とミスフィット転位の挙動 より緩やかな分布が形成される種子づけ状態で長時間保持する成長条件で結晶を育成した結果、実際にボロン濃度分布がほぼ計算通りに緩やかに形成されたが、ミスフィット転位の抑制には効果がないことを明らかにした。一方、成長開始直後の成長速度を速めた結晶では分布は計算結果とほぼ一致したが、ミスフィット転位が効果的に抑制される傾向にあった。 以上により、ボロン濃度分布の計算結果とミスフィット転位挙動は対応しなかったが、2で行った数値解析に種子結晶の融解/凝固プロセスを考慮することによって、現象の解明が前進すると考えられる。
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