研究概要 |
本研究では3次元の微細構造を利用したヘテロエピ成長を用いて3C-SiC/Si界面から入る成長層中の欠陥をはじめ,大きな残留応力や,歪みを低減させることを目的した.本研究では原料にSi2(CH3)6(Hexamathyldisilane : HMDS)を用い,主に表面平坦性に優れた結晶が得られるSi(111)基板上にCVD法により3C-SiCのエピタキシャル成長を行った.実験は横型常圧CVD装置により行った.まず,Si(111)上の3C-SiCエピ薄膜の形成を行い,3C-SiC/Si(111)界面近傍の成長条件の最適化を行った.(100)面上の成長同様にエピ膜の結晶性および表面モフォロジーが成長初期段階における3C-SiC成長前の炭化工程に依存する.また,島状成長で形成される個々のアイランドの大きさがCVD成長温度により変化することがわかった. マイクロチャンネルエピタキシー(MCE),ファセット形成型成長,エアブリッジ構造成長,横方向成長(ELO)の4つの成長様式により3次元微細構造を形成することができた.MCEを除く3つは種領域形成および再成長の2段階の成長様式である.マスクにより伝搬する欠陥を低減するMCEにおいて,ELOが得られたものの,結晶性が乱れ,nucleationの抑制によって改善が可能であることがわかった.ファセット形成型成長では面による成長速度の違いにより三角錐形状のエピ膜が形成された.また,ラマン分光測定よりエアブリッジ構造成長の空洞上に形成されたブリッジ領域はSi基板と接合している種領域より結晶性に改善が見られた.最後に横方向成長よりELO領域が得られ,隣同士のELOが合体していたが,合体部ではヒロックが観察され,現時点ではELO領域の結晶性が種領域より劣っている.これに対し,成長初期のパラメーターを精密制御することで結晶性の改善が期待される
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