研究課題
研究代表者等が世界に先駆けて開発したGaAsの分子層成長(原子層成長)において、TEG(トリエチルガリウム)とAsH_3を用いた成長では高純度の成長膜が得られるものの自己停止成長は見出されていなかった。本年度の研究では、TEG(トリエチルガリウム)とAsH_3を用いた表面反応過程の追求およびその制御方法を検討し、自己停止を実現するための成長条件を見出すことに成功した。表面反応過程に関しては、TEG-AsH_3システムにおけるGaAs(100)表面でのTEG導入および排気時の反応速度、AsH_3導入および排気時における表面反応等に及ぼす各種成長パラメータの影響について、走査型プローブ顕微鏡(本研究経費により平成13年度取得)を用い、成長表面の原子レベルでの平坦性評価および2次元成長・成長核形成の観察等の観点から検討を行った。この結果、自己停止機構を阻害する要因の一つはGaが露出した成長表面上でのTEGの分解反応が促進される現象によることをつきとめた。自己停止成長を実現するためには、Ga-エチルおよびAs-水素の吸着状態を確保することが必須であり、このためにTEGおよびAsH_3ガスを従来よりもはるかに高速導入・排気する必要があった。この条件を適用し高純度のGaAs成長膜を低温成長(270℃)で1分子層毎に成長させることが可能になった。さらにこの技術を半導体素子製造技術に応用するため、TEG-AsH_3システムによる自己停止機構に基づく不純物添加法の検討を行った。(AsH_3導入)-(AsH_3排気)-(TEG導入)-(TEG排気)を1サィクルとする自己停止成長条件において、不純物ガス(DETeおよびDESe)を導入するタイミングを選ぶことにより、不純物分子の吸着・反応を制御できることがわかった。平成14年度の研究課題である「不純物添加機構の解明と制御」へ向けての研究に着手した。
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