研究課題
研究代表者等が世界に先駆けて開発したGaAsの分子層成長(原子層成長)において、TEG(トリエチルガリウム)とAsH_3を用いた表面反応過程の追求およびその制御方法を検討した。本方法を用いて自己停止機構を伴う結晶成長条件を実現し、さらに同方法における不純物添加法を検討した。(AsH_3導入)-(AsH_3排気)-(TEG導入)-(TEG排気)を1サイクルとする自己停止成長条件において、不純物ガス(DETeおよびDESe)を導入するタイミングを選ぶことにより、木純物分子の吸着・反応を制御できたが、不純物添加量があるレベル以上では、成長膜厚が50%程度抑制されるという現象を見出した。不純物添加により成長抑制されるメカニズを調べるため、不純物添加成長1サイクルに引き続き、ノンドープ成長を数回行う成長モードを取り入れ、ノンドープの成長回数と成長膜厚およびキャリア密度の関係を調べた。不純物添加される1サイクルにおける不純物添加量によって、成長膜厚が1分子層に回復するのに要するノンドープ成長サイクルが異なることから、成長膜中の電子密度によって成長速度が決定されるという現象を見出した。すなわち、過剰に不純物が導入されたものでは、この回復が非常に遅く、回復に至るには10サイクル以上のノンドープ成長サイクルを要することがわかった。本研究により、自己停止機構に基づくTEG-AsH_3によるGaAsの分子層成長を270℃という低温で実現し、同温度における不純物添加を実現した。また不純物添加時における成長抑制効果を見出すとともに、これを制御すべく不純物添加成長1サイクルに引き続き、ノンドープ成長を数回行う成長モードを実施し、不純物添加を伴う成長機構の解明と膜厚制御性の向上を実現した。これによって、ナノメートル構造を有する急峻な不純物プロファイルを作製するための技術を創出できた。
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